れーわの感想置き場

主に令和ライダーや、時々映画等の感想をつぶやくブログ

第1話「オレが社長で仮面ライダー」感想

ついに始まりました、令和仮面ライダーシリーズ第1作。ゼロワン。

ジオウOQと最終回を経て平成がやっと終わった皆さんにおかれましては待ち焦がれていたのではないでしょうか。

 

それでは、前置きはこの程度にして第一話の感想です。

今回は第一話でめちゃめちゃ細かい伏線や説明描写も多かったので、できる限り全部のシーンを追っていきますよ。

 

 

感想

いいよコレ!すげーいい!

年号が変わり、時代が一新されたタイミングにピッタリなSFチックな世界観と、30分の短い時間の中にこれでもかと情報を詰め込み倒した1話。

バッタモチーフの主役ライダーで「原点回帰」を図ったとも言われてましたがぜんぜん攻めてますよコレ。

 

冒頭、企業のプロモーション風の映像とともに「人工知能搭載型ロボ ヒューマギア」に関する設定の解説からスタート。

アイロボットよろしく大量に並んだ次世代アンドロイドが、未来の印刷技術(?)で普通の人間と見分けがつかないような見た目の『ガワ』をかぶせられていく。

すごいね、SFだね。

ただまぁ、ヒューマギアは耳の部分にものごっつい機械が飛び出しているので外からの見分けは楽勝です。

通信衛星ゼアによって制御された云々、という将来的に衛星がハッキングされたりマザーコンピューターが暴走して大騒動になるフラグをしっかり立ててくれた。

このヒューマギアが様々な職業を担ってくれることを「新時代の働き方の新たな価値」と表現していたけど、実際問題こんな高性能アンドロイドが社会にばらまかれたら雇用が激減して貧困層が増えるなんてことにはならない…?

 

とかなんとか言っていると、良い笑顔でコマーシャルを締めていたお爺ちゃん社長の死亡ニュースに。こういう大物が最序盤で死ぬのは後々実は生きてたり再現AIを残していたりと言った形で復活するフラグです。俺は詳しいんだ。

 

ここで伝統的「遅刻だ遅刻!」パターンで主人公が登場。移動目覚まし(?)を5個かけていたらしい。未来発明品の名前をさらっと出しやがる。

そして空を飛ぶ謎の機械とHIDENインテリジェンスの超高層ビルで少し変わった未来の大都市をバックに「仮面ライダーゼロワン」のタイトルロゴがドーン。最近は第1話でOP流れないパターンが増えてきたので来週が楽しみですね。

 

CM明け主人公が駆け込んだのはなぜか遊園地。ダンディ坂野の2Pカラーみたいな服装でお笑いフェスティバルに登場する主人公。

令和最初の仮面ライダーはお笑い芸人でした。正気か?

開幕狂ったようなテンションの自己紹介からのミリも笑いどころの分からないAI漫才を繰り広げ老人カップルの「あーん♡」を視聴者に見せつける苦行を課してくる主人公。

2秒後にクビにされます。テンポいいな。

支配人が言うには「お前よりヒューマギア芸人の方が面白いからもうイラネ」とのこと。

上の方で心配していたヒューマギア失職の第一号がもう現れてしまった…。

 

ここで登場したのが今回のキーパーソン腹筋崩壊太郎

彼については最後に詳しく掘り下げて考察しますが、一つだけ言わせてください。

OQ作ったとき会議室で焚いてたハーブ抜けきってないだろ。

 

人工知能に人間のお笑いは理解できないでしょ」と自分もお笑いの何たるかを理解していないのに冷静に突っ込む主人公の眼前で大声でよくわからない単語を叫びながら腹部をパージするというそこそこ強引なネタで満員の客から大爆笑を取る腹筋崩壊太郎。

ネタ自体は一発屋芸人のソレだが、アルトのときにはすっからかんだった会場が埋まっているあたり固定ファンもかなりついているようだ。

大爆笑の会場を眺め「みんなが笑顔で幸せになれる遊園地」という夢を語る支配人。良い人そうであるが、「俺の夢のためにお前は必要ない」と経営者らしい冷酷な面を見せたところで場面転換。

 

その頃。

飛電インテリジェンスでは副社長が「いよいよ俺が社長となる時が来た」と権力欲をありありと見せつけ、

デイブレイクタウンと呼ばれる隔離されているようなエリアでは滅亡迅雷ネットというテロリストたちが「マギア作戦」を実行に移そうとしていた。

マギア作戦とは、ヒューマギアシンギュラリティを利用して人類を滅ぼす作戦らしい。

急に用語が連発されて混乱したが、たぶんそのうち全部説明されると思います。

要は自我が芽生えたヒューマギアを暴走させて人間社会へ侵攻しようということらしく、デイブレイクタウンは過去に同様の攻撃によって滅び去った街らしい。

そして飛電の研究施設では、衛星ゼアからの命令を受け「ゼロワンドライバー」が作成され始める。その研究施設で待機していたのは少女型ヒューマギア。

こういう、「特別な命令を受け来たる時を待ち続けている」っていうシチュエーションがなかなか少年漫画チックで大好きなんですが、分かっていただける方は僕と握手だ!

自称爆笑ピン芸人という令和開幕に相応しい罵倒を浴びせながら主人公の前に現れる謎のヒューマギア少女・イズ。彼女は社長秘書を務める特別なヒューマギアだった――。

 

場面が変わり、舞台裏で待機している腹筋崩壊太郎のシーン。ここは表情の変化とか含めてめちゃめちゃ情報が詰まっているのですが、後でまとめて語るとして端的に説明すると、このシーンで腹筋崩壊太郎には自我が芽生えてしまう。

しかしそのせいで滅亡迅雷に目を付けられてしまい、ヒューマギアを暴走させ怪物へと変貌させるキーを受け取ってしまうのだった……。

 

さて、前社長の孫だったアルトは、飛電本社に呼び出され、そこで驚くべき内容が記された前社長の遺書を読まされる。

この遺書の内容を要約すると、

・これからヒューマギアが悪人の手で暴走し人を襲い始めるよ

・対抗手段は社長にのみ使用権限のあるゼロワンだけだよ

・社長には孫のアルトを任命するよ

である。

この内容にブチギレの会社役員たち。なぜかキレていたのは「同族経営で会社を私物化する気か!」と三番目の孫を社長に任命するという部分についてだけだったが、

 

自社製品に暴走リスクがあって人を襲いますなんて企業へのダメージは尋常じゃないはずだがそこはいいのだろうか。こんなタイミングなら社長就任なんか御免被りたいんだけど。

 

しかし、アルトは社長就任を固辞。彼はお笑い芸人として人を笑顔にする夢があるのだ。

その夢のきっかけになったのは事故で失った父親を笑顔にさせてあげることができなかったというかつての記憶だったが、この父親として接していた相手は人間ではなくヒューマギア(耳のパーツが現代型とは違うので初期型?)。どういうことなの…?

 

(たぶん)クビの撤回を求めて遊園地に戻ったアルトだったが、大爆笑の会場とそれを満足げに眺める支配人を見て、何も言わずに立ち去ろうとする。

ところが、そのタイミングで会場でトラブルが発生する。暴走した腹筋崩壊太郎が「人間を滅亡させる」と宣言。ベローサマギアへ変貌し、付近のヒューマギアも暴走させて人を襲い始めたのだ。

少し離れた場所ではA.I.M.Sと呼ばれる特殊部隊が暴走ヒューマギアの制圧に乗り出していたが、その間にも遊園地はどんどん破壊されていく。

絶望する支配人を締めあげて高笑いする腹筋崩壊……ベローサマギアに、主人公は「人の夢を笑うな」と激昂。ドライバーを渡しに来たイズからベルトを受け取ると、指示に従って装着。

と、ここまでよくあるベルト入手の流れで、ここからは主人公が「初回なのに戦い方が何故か何となくわかる」というお約束が始まるのですが、さすがはゼロワン一味違った。

ベルト装着と同時に主人公の脳が衛星ゼアの思考回路に無線接続され、思考速度が人工知能並に加速された状態となり、数瞬の間でチュートリアルを行いマニュアルを頭に叩き込む……というSFっぽい理由付けをかましていく。いいぞ!

時間を一秒も無駄にすることなく2号ライダーフラグを立て、ラーニングを終えた主人公はゼロワンへ変身!

戦闘シーンについてはちょっと割愛しますが、ライジングホッパーは脚力を強化した姿らしく驚異的なジャンプ力と強力なキックで敵を撃破する。細かいんですけど戦闘中のバスの「とまります」とか、細かいSEの使い方が臨場感を盛り上げててよかった。

 

破壊されたクローサのキーは滅亡迅雷により回収され、アルトはゼロワンドライバーをその場の勢いで使用した結果「社長」になってしまう。

なんとか断れないかとイズに懇願しようとするアルトだったが、「遊園地やめちゃうの?」と尋ねる子供たちと「お客様に笑顔を届けるために遊園地を続ける」と答える支配人の笑顔を見て、「こういう形で笑顔を届けるのもアリなんじゃない?」とイズに説得されゼロワンの役割を引き受けることを決意する。

この場面、支配人はアルトがゼロワンに変身する姿をバッチリ観てるんですが、「謎の黄色いヒーローが助けてくれた」と秘密を守ってあげようとするセリフが良いですよね。

社長専用のデバイスを受け取り、しみじみと社長になった現実をかみしめながら

 

信じられないくらいつまらんダジャレを主人公がかまして第1話終了。温度差で風邪ひくわ。

  

考察

ゼロワン=アルトについて

様々な伏線が用意されていた1話ですが、やはり最も気になるのは主人公アルトと飛電インテリジェンス前社長が秘密裏に開発していたゼロワンの存在でしょう。

滅亡迅雷Nの言葉通りなら、過去にはデイブレイクタウンはヒューマギアの暴走にって壊滅的被害を被って水の底に沈んでいるわけですが、そんな大事件が起きていながら普通にヒューマギアが全国各地で利用されているからには、デイブレイクタウンの事件は表沙汰になっていないのでしょうか?

そして飛電前社長はどうも滅亡迅雷Nの存在を知り、その工作活動を阻止しつつ自らの死後にヒューマギアから人間を守るためイズやゼロワンの準備をしていたわけですが、はたしてこれらが単純な正VS不正の関係にあるのかは疑問の余地があります。

飛電インテリジェンス側としてはリスクあるヒューマギアという製品により人的被害が発生することを予見していながらなんらかの理由で公表していなかったと言えるからですね。

 

主人公であるアルトについても、一見すると寒いギャグを連発する若者ですが、

父親として接していたのがヒューマギアであったり。

名前がHidden(隠された) Alto(最初期の試作コンピューター)であったり。

ゼロワンの機能であるにせよ、衛星と無線接続してラーニングを行ったり。

社長の孫なのに会社役員が誰も彼の事を知らなかったり。

「AIにwwwお笑いとかwww」と言いつつ本人のギャグがクソだったり。

とまぁ不穏な伏線が1話からてんこ盛りだったりします。一応アルトが出血しているシーンがある事から彼がヒューマギアだという可能性は低いと考えられますが、彼に関する重大な秘密があるのは間違いなさそうですね。

 

腹筋崩壊太郎について

命名センスが春映画ノリですが、放送終了直後彼の名前がTwitterでトレンド入りしたのは記憶に新しいと思います。

これはほんの短い登場シーンにもかかわらず彼の死が視聴者に大きなインパクトを与えた結果なのですが、これは「腹筋崩壊太郎」というキャラクターが仮面ライダーゼロワンという物語の根幹にあるテーマに迫っていたからなんじゃないか、と思われます。

 

腹筋崩壊太郎=ベローサマギアは仮面ライダーゼロワン最初の敵であると同時に、令和ライダー最初の敵でもあります。要は立ち位置としてはクモ男やズ・グムン・バと同等であり、作品の象徴としての役割も持たされているわけです。

 

腹筋崩壊太郎に自我が芽生えたシーンで、AIらしく無表情のまま過去のお笑いステージでの観客の反応を再生し確認していた(おそらく作業としては、ネタに対する観客の反応からウケるネタを分析するというもの)ところ、笑顔の人々の情報を反芻するうちに自然と自分の表情も笑顔になっており、それに戸惑う表情を見せるという流れがあります。

この無表情→笑顔→戸惑いという3つの表情の変化だけでセリフすらなく、短時間で彼の内部で何が起こっているのかを表現するやり方がめちゃくちゃ上手い。

直後に彼はテロリストによってハッキングを受けて暴走させられてしまうのですが、最後の最後まで「私の仕事は人を笑顔にすることだから」と抵抗を試みるも、再び無表情のAIに変化し人を襲うようになってしまいます。

これ以降の彼を腹筋崩壊太郎ではなくベローサマギアであると定義するならば、

腹筋崩壊太郎が登場しその変化が描写されているシーンの尺は1分程度。

変態的な情報の密度ですよコレ

 

何より、この腹筋崩壊太郎に自我と「人を笑顔にさせる仕事がしたい」という夢が芽生え、最後までハッキングに抗うも暴走させられてしまうという悲劇は舞台裏で行われたものでしかないためアルトを含める人間の誰にも伝わっていません。

その結果、アルトはベローサマギアにこういう風に台詞を投げかけることになります。

 

「笑うなよ。何もわかってない癖に人の夢を笑うんじゃねぇよ!人の夢ってのはな、検索すれば分かるような、そんな単純な物じゃねぇんだよ!」

 

本来であれば名台詞なのですが、上述の腹筋崩壊太郎側の事情を知っている視聴者にとってみると、「ん?」となる部分もあるのではないでしょうか。

考えてみると、当初からアルトは「AIに人間のお笑いは理解できない」と考えていましたし、この発言でも夢を持つのは人間だけであるという大前提をもっています。

これは別にアルトが間違っているというわけではなく、一般人が普通持っている感覚でしょう。

ゼロワンがベローサマギアを破壊した後も、子供たちが心配しているのは支配人が遊園地をやめてしまうかどうかであり、腹筋崩壊太郎が破壊されたことを気に掛けるキャラクターの描写は全くありません。

繰り返しになりますが、この登場人物の反応は自然です。

お笑い芸人ロボットのAIが暴走して人を襲ったので処分された、という事件の顛末に対して、「でもあのヒューマギアだって人を笑顔にさせるために頑張ってたよな…」と感傷に浸る方がどちらかといえば異常な反応と言えなくもありません。

 

では、Twitterで腹筋崩壊太郎について大騒ぎした視聴者とゼロワン世界の一般人とで何が違うのでしょうか。答えは既に書いてある通りで、我々視聴者は腹筋崩壊太郎に起こった出来事や彼に自我があったことを知っているということ、即ちAIに自我が芽生えるという可能性を与えられているということです。いわば、我々は仮面ライダーゼロワン視聴後の人間であり、ゼロワンに出てくる人々は視聴前の私達と言い換えることができます。

ほんの1分程度の腹筋崩壊太郎と言うキャラクターの描写を通して、人がAIを見る目の差をまざまざと見せつける、そういった演出の工夫が腹筋崩壊太郎ロスという反応へつながったのだと思います。

ゼロワンの今後の展開がどうなるのかは分かりませんが、少なくともAIにも自我が宿るという現実を人々が突きつけられるシーンに向けて第1話では着々と準備が進められていたという印象を受けました。

 

 

第2話は社内権力闘争。副社長は権力欲の副官ポジとして終盤まで使われそうですが、あんまり長々とアルト社長で良いの?みたいな話をやるとも思えないのでアルト社長就任を認めさせる形でまとめる話になりそうですね。

次週も楽しみです!

 

 

腹筋崩壊太郎って書き過ぎてなんだかよくわからなくなってきた。